現金なやつ? 厳禁なやつ?
結局のところ「現金」が正しい表現です。ではなぜそのような言葉がそのような表現になったかというと、江戸時代にさかのぼります。江戸時代では、呑み屋さんでは代金をその場で現金で払う人と現金を持ち合わせていなくてツケにする人がいました。お店側からすると常連さんであれば支払っていただくことはあるかもしれませんが、常連でもない方でもツケにする人もいます。ツケにしてしまうと支払わない人がいるにも関わらず、売り上げのことを考慮すると安易に断ることもできません。しかし、ツケにしてしまうと支払うことを忘れている人やそもそも支払う気がない人もおり、集金をしても回収することが出来ない場合も少なかったそうです。そんな訳でお店側からするとツケにするお客よりも現金で支払うお客の方を重宝するようになってきました。そうすると今度はお客が無茶な要望をお店側に要求したときに、お店側から即お断りの内容であっても、客側から現金払いにするからということを伝えるだけでお店側の対応は変わります。お店側からすると手のひらを返したように相手の弱みに付け込んでいることを「現金なヤツ」というように表現されるようになったそうです。 現代において、ツケということは、ほとんどみることがありませんが、江戸時代の市場背景として売り手市場ということがみえてきます。ツケでもよいので売り上げをあげたいということは、買い手が少ないがためにツケ払いの人を断ることが出来なかったということになります。今は買い手市場に加えて一部、売り手市場となり、その売り手市場は淘汰されていくように市場が変化してきたというように考えられ、言葉だけが残り続けているということになります。 何気なく耳にしている言葉であってもよくよく考えてみると時代背景がみえてくるものもあるので、何気ないものから深堀してみると面白い発見が