現金なやつ? 厳禁なやつ?

学校で学ばないこと

「げんきんなやつ」とはどのような意味があるのか?

みなさんは「げんきんなやつ」という言葉を耳にしたことはあるかと思いますが、意味を理解しているでしょうか?よく使われている例としては、「あの人は手のひら返しをしたように急に態度が変わった、げんきんなやつだ」という文章が使われることが多いです。この文章の登場人物としては、自分と「あの人」であり、このふたりの関係性の変化に「げんきんなやつ」という言葉を用いられております。今までは「あの人」は自分自身に対して良心的な関係を築いてきたものの、何かがきっかけで自分との関係性を変化させたいという考えになり、それが目に見えるような形で態度が変わったために、手のひらを返したようにということで、180度変わってしまったということです。つまり、態度が180度変わってしまったということに対して変わり身が早く、義理人情に欠けていることを婉曲的に批判している表現として「げんきんなやつ」として使用されております。

「現金」or「厳禁」or その他

結局のところ「現金」が正しい表現です。ではなぜそのような言葉がそのような表現になったかというと、江戸時代にさかのぼります。江戸時代では、呑み屋さんでは代金をその場で現金で払う人と現金を持ち合わせていなくてツケにする人がいました。お店側からすると常連さんであれば支払っていただくことはあるかもしれませんが、常連でもない方でもツケにする人もいます。ツケにしてしまうと支払わない人がいるにも関わらず、売り上げのことを考慮すると安易に断ることもできません。しかし、ツケにしてしまうと支払うことを忘れている人やそもそも支払う気がない人もおり、集金をしても回収することが出来ない場合も少なかったそうです。そんな訳でお店側からするとツケにするお客よりも現金で支払うお客の方を重宝するようになってきました。そうすると今度はお客が無茶な要望をお店側に要求したときに、お店側から即お断りの内容であっても、客側から現金払いにするからということを伝えるだけでお店側の対応は変わります。お店側からすると手のひらを返したように相手の弱みに付け込んでいることを「現金なヤツ」というように表現されるようになったそうです。
現代において、ツケということは、ほとんどみることがありませんが、江戸時代の市場背景として売り手市場ということがみえてきます。ツケでもよいので売り上げをあげたいということは、買い手が少ないがためにツケ払いの人を断ることが出来なかったということになります。今は買い手市場に加えて一部、売り手市場となり、その売り手市場は淘汰されていくように市場が変化してきたというように考えられ、言葉だけが残り続けているということになります。
何気なく耳にしている言葉であってもよくよく考えてみると時代背景がみえてくるものもあるので、何気ないものから深堀してみると面白い発見があるかと思います。

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